ウレタンゴムの加工について、基礎知識を記載します。
ウレタンゴムの特徴と用途
ウレタンゴムはポリエステルまたはポリエーテルを原料とする合成ゴムで、以下のような優れた特徴を持っています:
- ●耐摩耗性:他のゴムに比べて非常に高い耐摩耗性があり、長期間使用される部品に適しています。
- ●弾力性:適度な硬度を持ちながらも、高い弾力性を発揮します。
- ●耐薬品性:酸やアルカリに対する耐性があり、過酷な環境でも劣化しにくい特性があります。
- ●耐衝撃性:衝撃吸収性に優れ、防振材としても使用可能です。
- ●温度耐性:ウレタンゴムは広い温度範囲で性能を維持でき、高温や低温環境でも使用可能です。
- ●加工の柔軟性:射出成形や切削加工など多様な加工方法に対応可能で、設計自由度が高い点も特徴です。
これらの特性を支えるのが、ウレタンゴムの原料であるポリエステル系とポリエーテル系の化学構造です。ポリエステル系は特に耐摩耗性と引張強度に優れ、ポリエーテル系は耐水性や低温特性が良好です。それぞれの特性を活かし、用途に応じた最適な使い分けが必要です。
これらの特性から、ウレタンゴムは以下のような用途に広く活用されています:
- ●ゴムローラー(ライニング加工)
- ●防振材
- ●機械部品(ギア、シールなど)
- ●その他の特注部品
ウレタンゴムの加工(成型)方法
ウレタンゴムの加工(成型)には、以下のような方法があります:
- ●インジェクション(射出成形):ウレタンゴムを溶融状態にし、金型に高圧で射出して成形する方法です。この加工方法は、複雑な形状や高精度な部品を大量生産するのに適しています。通常、成形温度は150~200℃で、硬化剤の種類や配合比率によって硬度を調整可能です。インジェクションは自動化が進んでおり、100個以上の中・大ロットに向いています。
- ●プレス加工:ウレタンゴムのシートを金型に挟み、加熱・加圧して形状を成形する方法です。プレス加工は比較的シンプルな形状の製品や小ロットの生産に適しており、成形温度は120~180℃が一般的です。硬化剤の選択によって成形後の特性を調整することができ、下流工程での切削や仕上げ加工が行われることもあります。
- ●注型加工:液状のウレタンを金型に注ぎ込み、硬化させて成形する方法です。この方法は手作業での対応が可能なため、試作や少量生産に適しています。硬化時間は30分から数時間程度で、温度や硬化剤の種類によって調整されます。注型加工は形状自由度が高く、特に大型部品や複雑な形状の製品に向いています。
その他、機械加工や切削加工などで、金型を使わない方法もございますが、高い精度を求める場合は金型を使った成型方法が適しています。加工方法の選択は、用途や求められる性能、ロット数、コストに応じて異なります。どの方法が最適かは当社からご提案いたしますので、是非ご相談ください。
ウレタンゴムの精度について
ウレタンゴム製品では、素材特有の特性により、寸法公差が金属加工品ほど厳密にはなりません。寸法公差が厳しい製品は多少の許容や図面変更が必要になる場合があります。
その中でも、以下の点を工夫することである程度の精度を実現することが可能です。
- ●金型の使用:金型を用いることで、寸法誤差を最小限に抑えることができます。金型の製造は小野ゴム工業の協力工場でも対応いたします。
- ●成形条件の最適化:素材の選定、硬度の調整、温度管理などにより品質を安定させます。
- ●検査体制の強化:検査機器や熟練した検査員による目視検査や寸法確認を行います。これにより万が一不良が発生した場合にも対応可能です。
特に寸法精度が求められる場合は、事前に十分な打ち合わせを行うことが重要です。
小野ゴム工業のウレタンゴム加工
小野ゴム工業では、豊富な経験と高度な技術を活かし、さまざまなウレタンゴム製品を提供してきました。特に手のひらサイズのゴム製品つくりに強みを持っておりますので、是非ご相談ください。
- ●多様な加工方法に対応します(一部協力工場にて対応)
- ●少量生産から大ロット対応まで柔軟に対応します
- ●経験豊富なスタッフによるご相談や加工のご提案します
技術情報
ウレタンゴムやシリコンゴムの加工についてはこちら
ゴム加工
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ゴム成型
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